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福島地方裁判所 平成2年(わ)106号 判決 1990年10月31日

本籍

福島県安達郡岩代町成田字寺ノ前一〇五番地

住居

同所

会社役員

渡邊猛

昭和二五年五月一〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官佐藤方生出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金八万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福島県安達郡岩代町成田字寺ノ前一〇五番地において、「渡辺石材」の名称で墓石用の原石採取業を営んでいた者であるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外する等の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和六〇年分の実際所得金額が三三、九五二、六五九円あつたのにかかわらず、昭和六一年三月一五日、福島県二本松市亀谷一丁目二九番地所在の所轄二本松税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六、七〇五、四五二円でこれに対する所得税額が一、二二二、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により同年分の正規の所得税額一三、四一六、九〇〇円と右申告税額との差額一二、一九四、七〇〇円を免れ

第二  昭和六一年分の実際所得金額が五二、六〇三、七七一円あつたのにかかわらず、昭和六二年三月一六日、前記二本松税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が八、八七八、九二八円でこれに対する所得税額が一、四四四、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により同年分の正規の所得税額二四、三〇八、〇〇〇円と右申告税額との差額二二、八六三、三〇〇円を免れ

第三  昭和六二年分の実際所得金額が六九、七四五、六三〇円あつたのにかかわらず、昭和六三年三月一五日、前記二本松税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一五、二七七、〇九八円でこれに対する所得税額が三、七七〇、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により同年分の正規の所得税額三二、五一五、〇〇〇円と右申告税額との差額二八、七四四、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書八通

一  渡邊マサ子、鴫原敏雄の検察官に対する各供述調書

一  渡邊マサ子(八通)、高倉一雄(二通)に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一  検察事務官作成の報告書、報告書(一)、(二)、電話聴取書

一  大蔵事務官作成の青色申告の承認の取消通知書謄本、脱税額計算書説明資料、売上調査書、経費調査書、減価償却資産調査書、石山償却費調査書、給料賃金調査書、利子割引料調査書、青色申告特典調査書、利子所得調査書、雑所得調査書、現金調査書、預金調査書、一時払保険料調査書

判示第一の事実について

一  検察事務官作成の報告書(三)

判示第二、第三の事実について

一  大蔵事務官作成の譲渡所得調査書

判示第二の事実について

一  検察事務官作成の報告書(四)

判示第三の事実について

一  検察事務官作成の報告書(五)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条に該当するから、所定の懲役刑及び罰金刑をそれぞれ併科し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一、四〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金八万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、右懲役刑については情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 芥川具正)

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